円周寺の貂(テン)

今日は、下早通の円周寺にすみついた、イタズラ好きのテンのお話をしようかの。

はやと君

テンって何?どんな生き物なの?

テンはイタチの仲間じゃな。ハクビシンなんかもそうじゃ。円周寺ができた頃は、まだ見渡す限りアシが生えわたり、冬の嵐となれば、鳥屋野潟の波打つ音も聞こえてきたそうじゃ。それくらい、自然豊かな環境でこういった生き物も村中にたくさんおったんじゃ。

いつの頃からか、この円周寺にテンが住み着くようになったそうな。このテンが大変にイタズラ好きで、時々不可解なことが起きると、誰ともなくテンの仕業だというようになった。そんなある日、客僧がお寺の境内を散歩していると、スモモがうまそうに実っておるのを見つけた。そっと1つ食べ、続いて2つ3つと食べてみた。

するとその晩の丑三つ時に、客層が寝ておると、にわかに怪物が現れて戸をたたき障子を揺すり始めた。客僧は縮み上がって、布団の中でブルブルと震えて朝まで過ごしたそうな。

翌朝、住職に昨晩の出来事を伝えると、テンの仕業だと知っていた住職はすぐに本堂へ行ってテンを怒鳴りつけたそうな。客層が朝の説教を済ませて部屋に戻ると、スモモが用意されておったということじゃ。

また時には茶坊主になって働いたり、隣家の婆さんが機を織っていると、小僧になってやってきて婆さんのお手伝いをしたりした。住職が好まない客だと床を持ち上げて驚かせたり、鐘を鳴らしたり障子戸を揺らしたりすることが度々あったそう。

引用文献:亀田町史より

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